ねこのきもち



しとしとしとしとあめがふってきた。

ここはくらくてさむくてこころぼそい。

さいごまでいっしょにいたおねえちゃんは、かみのくろいめつきのわるいへんなにおいのするおとこのこにつれていかれた。

おれだけのこされた。

なんだよおれはおねえちゃんをまもろうとしただけなのに!

ひっかいちゃったからおいてかれたんだ。

…おなかすいた…さむい…おれはここでしぬのかな…?

いやだ!まだまだあそびたい!

さいごのちからをふりしぼって、にゃあ、とないてみた。

さむいよ。おなかすいたよ。

…だれかおれとあそんでよ…

めのまえがまっくらになって、もっとさむくなってきた。

くるり、とまるくなったら、ちょっとだけあったかくなった。

ねむく…なってきた…

めがさめたら、きっとあかるくてあったかいところにいるんだ…

あ…もうめがあかないや…ねむくてねむくて…





「あ!やっぱり居た!!こんな所に子猫…」

やさしいおとがきこえて、おれのからだがうかびあがる。
なんだろう…あったかい…やさしいにおい…

「わぁ、綺麗な猫だなぁこの子!こんなとこに段ボールに入ってるんなら…捨て猫だよね…?ってか、冷たくなってるよっ!?死んで…ないよね…?大丈夫だよね!?」

ぷちぷちおとがして、いいにおいがおれをつつむ。

…あったかい…

とくとくとおとがして、ぎゅうとだっこされる。
きもちいい…あったかくていいにおいで…ゆらゆらしてて…
おれはそのままそこでねた。



ざあざあとあめのおとがする…
でもここはあったか…ってあつい!!

「ふぎゃぁっ!」

おれがびくりとはねあがると、あったかいてがおれをつつむ。

「あ、起きた。今お風呂に入ってるから、ちょっとだけ我慢してね?君汚れてたから…家にあげたら姉上がすっごく怒ってさ…ちょっとだけ我慢してね?お風呂上がったらミルクあげるからね?」

「にゃぁ。」

くさいにおいのぬるぬるをいっぱいかけられてにげたくなったけど、やさしくからだをなでられる。
わ…きもちいい…
のどをごろごろならすと、くすっとこえがきこえる。

「気持ち良い?泡を流すから又お湯を掛けるよ?」

またみずがかかってくるけど、あったかくてきもちい…
おれがおとなしくしてると、みずがかからなくなってひょいともちあげられる。

「はい、綺麗になった!じゃお風呂入ろうね。」

まるいのにみずがいっぱいはいってるところにいれられると、すごくあったかい。
ごろごろのどをならすと、あったかいてがあたまをなでる。

「気持ち良い?お風呂好きなんだね、キミ。」

「にゃぁ。」

うん、おれこれすき。

「わっ!返事してくれたのかな…?えへへ…可愛いなぁ…」

おれがうえをみると、くろいかみのやさしそうなおとこのこがいた。
このこがたすけてくれたんだ…おれ、このこすき!

「そうだ、キミの名前決めなきゃねぇ。どうしよう…」

おとこのこがうーんうーんとうなってる。

「タマ…は普通過ぎるし…ちゃとらん…はパクリだし…うーん…」

なまえ、っておれのよびかたのことかな?

「うーん…僕が新八だから…」

しんぱち、ってゆうんだ、このこ…

「にゃぁにゃにゃ」

「あ!今新八って言った!?…キミ頭良いなぁ…そうだ!僕の尊敬する剣豪の名前を貰おう!」

けんごう?なんだろう?

「うーん…ジュウベエって感じじゃないし…リョーマ…じゃ王子様になっちゃうし…イサミってのもなぁ…トシゾウ…でもないなぁ…あ!ソウシ!うん、このこ華奢で綺麗だし!ソウシが良いや!でも…もうひとひねり欲しいなぁ…よし!ソーゴにしよう!うん、キミの名前はソーゴだよ?」

「にゃぁあ」

「そう、ソーゴ。よろしくね?ソーゴ。」

しんぱちが、おれをあったかいみずからだきあげて、ぎゅうっとだっこしてくれる。
うれしくて、ぺろぺろとなめると、くすぐったいよ!といってわらった。

おふろからでると、しんぱちがおれをふかふかのぬのでふいてくれた。
ふかふかになってきもちくなってると、おさらにみるくをいれてくれた。
それはすっごくおいしくて、すぐになくなった。
おなかいっぱいになったし、あったかいし、しんぱちがだっこしてくれるし…
すごくねむくなったんで、ねた。

しんぱち…は…おれのいのちのおんじんだ…だいすき…