哥哥来々
今日はすっごく天気が良くて、いっぱい洗濯が出来て大満足です。
いつもは出来ないシーツやタオルケットとかの大物も全部洗えたし、溜まってた銀さんと神楽ちゃんの服も、バスタオルやなんやかんやも綺麗に洗えた。
物干し台にかけていったら、お日様の匂いと柔軟仕上げ剤の良い匂いに囲まれて、なんだか嬉しくなってくる。
ぽかぽか暖かいし、良い匂いだし、凄く眠くなってきちゃった…
ちょっとだけ…寝ようかな…?
神楽ちゃんは定春と遊びに行っちゃったし、銀さんもふらりとどこかに行っちゃったし…僕だって少しぐらい休んでも良いよね…?
流石に電話が鳴ったら気付くよね…?
割烹着を外してソファに座ると、すぐに瞼がおりてきて、とろとろとまどろみ始める。
はぁ…気持ち良い…
僕が良い気分ですぅっと眠りに落ちそうになった時、突然後ろから声が掛かる。
「又来ちゃったヨー」
いきなり凄い殺気(?)が僕に叩き付けられた気がして、後ろを振り向きざま無意識にパンチを繰り出すと、僕の拳に何かが当たった。
なっ…何…!?
眠さで閉じそうになる瞼をなんとかこじ開けて拳の先を見ると、ソコにはピンクの髪をなびかせた男が、恐ろしい笑顔で立っていた。
なっ…この人はっ…!
「神威さ…っ…」
すっかり目が覚めた僕が慌てて身を引くより先に、僕の腕を掴んだ神威さんがグイッと引き寄せる。
やっ…ヤバいっ…無意識だったとはいえ、僕はなんて人を殴っちゃったんだよ…っ…僕っ…殺される…
「覚えててくれたんだ。新八、俺の事好きになっちゃった?」
ビクビクと体を縮めていたけど…あれ…?なんかいつものニコニコ笑顔…
僕…殺されない…?
「あの…殴っちゃって…すみませんっ!僕、寝ぼけてたみたいで…っ…」
「んー?このくらい平気ダヨ?寝起きの新八可愛いネ!」
そう言ってニコニコ笑ってるけど…
右目の周りが青くなってる…パンダ…?
「あのっ!手当てしますんで座って下さい…」
とりあえずソファに座ってもらって、タオルを冷やしてきて目に当てる。
冷やす以外どうやって良いのか分からないし…間違って無いよね…?
「んー、別にこれぐらいすぐ治るけどネ。新八が手当てしたい、って言うんならオマカセするヨ。」
ずっとニコニコ笑ってるけど…
「…痛く無いですか…?」
そっと青くなってる目の横を触ると、すぅっと目を細める。
「ダイジョーブダイジョーブ!俺のお嫁さんならこれぐらいじゃないとネー!凄いヨ?俺を触るのもなかなかムズカシイんだヨー?さっすが新八!俺が見込んだだけはあるヨー」
何良い笑顔で怖い事言うのっ!?この人ぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!
「おっ…お嫁さんにはなりませんからっ!僕、男ですからっ!!」
僕が叫んでも、何食わぬ顔でニコニコ笑ってる…
ちゃんと分かってるのかな、コノ人っ…
「もう、照れ屋さんだなぁ、新八は。男とかカンケー無いヨ?」
「関係有りますっ!!」
僕がちょっと怒っても、どこ吹く風でにこにこにこにこ笑ってる。
もう!何がそんなにおかしいんだよっ!?
むぅっと膨れると、よしよしと頭を撫でられる。
「新八は世間知らずだなぁ。今ドキ男だってコドモぐらい産めるヨ?」
「何処の常識ィィィィィィ!?」
「んー?そーゆー星もあるってコト。」
「ココは地球ですっ!」
そう言った僕のツッコミをものともしないで、突然ぐっと僕を引っ張って神威さんの膝の上に乗せる。
ちょっ!何この体勢っ!?
「はっ…離して下さいよっ!!」
「ヤダ。セッカク地球まで来たんだから、イチャイチャしよ?」
「ヤですっ!!」
ジタバタと暴れて逃げようとするけど、ガッチリと掴まれて逃げられないっ…
たいして力入れてないみたいな顔しやがって…悔しい…
「離して下さいよっ!!」
「えー?アイタタタタ…右目がイタイなー」
「うっ…」
わざとらしく紫に変色した片目パンダを抑えて痛い痛いと言われると、言葉に詰まってしまう。
「…ごめんなさい…」
僕がそっと頬に触れると、びっくりしたように僕を見て、今度はにっこりと笑われる。
…いつもの胡散臭い笑顔じゃなくて…ホントに笑ってる顔…
なんでドキ、とかしてるんだよ、僕…
「やっぱ良いなー、新八。優しいネ、俺のお嫁さん。」
「おっ…お嫁さんじゃないですっ!」
「お嫁さんダヨー」
にっこりにこにこ笑ったまま神威さんが体重移動して、気が付くと僕はソファに押し倒されて、その上着物まで肌蹴られていた…
ギャァァァァァっ!ちょっとぉっ!どんな早業ァァァァァッ!?
2
→