食中毒には気を付けろ。



結局何も言えないまま、数日が経ち…

だってっ!意識しちゃったらダメなんだよっ!!
顔を見るなんてもっての外…なんであんなにカッコ良いんだよ、アノ人っ!
声を聞くだけで緊張しちゃって…なんであんなに綺麗な声なんだよ、アノ人っ!
そんなだから、言いたい事が言えないドコロか、いらん事しか言え無くて…気が付いたら嫌い、とかキモイ、とか言っちゃっててさ…何なんだよ、僕…

そんなぐるぐるしたままの何日かを過ごしている時に、お登勢さんに腐ったカニの処理を頼まれた。

…あんまり美味しそうだったから食べてしまったら(だって、銀さんが食べ物は腐りかけが1番美味しい!って言うから!)、当然食中毒をおこしてしまい…僕等万事屋は、揃って入院する事になってしまいました…あぁ…お金無いのに…

まぁ良いか…これで暫く沖田さんに逢わなくてすむし…

僕等が入れられた病室には、先に長谷川さんが入院していた。
長谷川さんはどこかからお見舞いにバナナを貰ったみたいで…
あー、バナナ美味しい。
体力落ちた時にはやっぱりバナナだよねー!
僕等がもっさもっさとバナナを食べていると、病室のドアがノックされる。

「新八、体の具合はどうだ?」

入ってきたのは、でっかい果物カゴを持った土方さんだった。
…何で知ってんだ!?この人っ!?

「土方さんっ!?なんで知って…」

「近藤さんがオメェの姉さんに聞いた、って大慌てしててな…ほら、栄養の有るもん差し入れ。」

僕のベットの上にぽん、と果物カゴを置く。

「…ありがとうございます…」

スゲー…流石真選組副長…
あれ…?真選組にバレた、って事は…

「新八くぅーん、果物なんかじゃダメだよね?ホラ、真選組ソーセージ!俺、剥いてあげるから食べなよ!あ、食べさせてあげる。」

「山崎さん!」

何故かベッドの下から山崎さんが現れる。
魚肉ソーセージ…なんでもう剥き出しなんだよっ!
僕が軽く引いていると、山崎さんがソーセージを差し出す。

「ほらほら、俺が食べさせてあげる!はい、あーん。」

「あーん、じゃないですよっ!魚肉ソーセージなんていりません!」

「えーっ?男のロマンじゃない。はい、あーん!」

ロマンじゃねーよっ!口に押し付けてくるんじゃねぇっ!!

僕が顔を逸らして横を向くと、部屋中の人達が僕等を凝視していた。
土方さんは頬を赤らめて、ゴクリ、と唾を飲み込んでる…

「アンタら何想像してんだァァァァァァァ!!!」

僕が、バシッとソーセージをはね退けると、山崎さんが痛そうな顔をする。

「あー!俺のソーセージ―!」

「だまれオヤジっ!」

「酷いよ、新八くーん…」

うすら笑ってるのがムカつくなぁ…

「新八が山崎の汚ねぇソーセージなんざ咥える訳ねぇだろィ。」

こっ…この声は…

「沖田さんっ!?」

「新八が咥えんのは俺の特大バナナでィ。なァ?新八ィ?」

僕が、ばっ、と隣を見ると、いつの間にか綺麗に剥いたバナナを差し出して、にっこり笑った沖田さんが居た。

ちっ…近い近い近い近い…

僕がずりずりと後ろに下がって距離を取ろうとすると、どん、と何かにぶつかる。

「何言ってやがる、新八が咥えんのは俺の高級メロンだ。」

土方さん…?何でメロン細長く切ってんの…?
ってか咥えるってなんだっ!?
そんな僕の心のツッコミなんて全く関係なく、両側から凄い笑顔でバナナとメロンを差し出される。
たっ…食べられるかっ!そんな下心まみれの果物!!

「えー?新八くーん、俺のソーセージー!」

前からは山崎さんが、新しく魚肉ソーセージを剥いて差し出してくる…

「いっ…いい加減にしろっ!オヤジども―――っ!!」

僕が叫ぶと、口にめがけて3方向からそれぞれのブツを差し込もうとしてきやがる…
あー!もうっ!!

がぶ、がぶ、がぶっ!

それぞれを一口づつ食いちぎって、もりもり食べてやる。
うぇーっ、不味い…1個1個食べたら、きっと凄く美味しいだろうに…

「はい、食べましたっ!もう良いでしょ?とっととしまって…って、山崎さん何してんスかぁぁぁぁっ!?」

僕の目の前に居た山崎さんが、ぷるぷると震えながら、僕が食べたソーセージを舐めようとしていた…

へっ…変態…っ!!

僕がどん引いて後ずさると、横から来た神楽ちゃんが、山崎さんのソーセージを食べた。

「へー、なかなかいけるヨ、このソーセージ。」

もぐもぐと咀嚼して、ニヤッと笑う。

「新八の間接きっすゲットネ!」

「酷いよチャイナさんー!俺が狙ってたのにぃー!!」

山崎さん、涙目で神楽ちゃんに抗議してる…大人だよね…?コノ人…

「てめっ、何しやがる!」

土方さんの声が響いてそっちを見ると、銀さんが土方さんの手まで食べる勢いでメロンを食べてた…

「ちょっと多串君〜、ウチの子を変な目で見ないでくれない?君も今、メロン舐めようとしてたでしょ〜?」

「なっ…ばっ…んな事しねぇよ!」

「い〜やしてたね。ぷるぷるしてたね。ウチの子の貞操を守るために、俺は仕方なく残りのメロンを食べたんだぜ?再犯を防ぐために、残りも全部食べたんだぜ?俺は。」

「ざけんな!オメェに食わせる為に持ってきたんじゃねーよ!」

「新ちゃんの安全の為に、コレは全部俺が毒味しますぅー〜」

「あ、テメっ!食うな!!吐き出せ!!」

今度は銀さんと土方さんが掴みあいの喧嘩を始めた…大人だよね、あの人達…
ってか銀さんは果物食べたいだけだよね…?