酔っ払いのキセキ
銀の旦那の記憶喪失騒動からコッチ、俺は新八に逢いに行ってねェ。
何度か非番にはなっちゃァいるが、デートの約束も、誘ってねェ。
あの時、見ちまったから。
記憶の戻った旦那しか、新八は見ちゃいねェのを。
俺もその先に居たってェのに。
隣には土方も居た。
銀の旦那の居た先には山崎も居た。
そして、新八の隣には、チャイナが居た。
その、誰も、新八は見ちゃいなかった。
旦那の事だけ、真っ直ぐ見てた。
もしかしたら…新八が好きなのは、俺たちの誰でもねェ、旦那なんじゃねェかって…
思っちまったら、止まらねェ。
怖くて逢いにも行けねェなんて…ヘタレにも程があらァ…
でも…もう1回旦那しか見てねェ新八を見ちまったら…俺は…自分を止める自信がねェ。
そんな風に俺がウダウダしてる間に、いつの間にか年の暮れ。
流石に本気で忙しくなってサボってなんかいられなくて、そのままズルズルと、新八を見る事も無く大晦日になっちまった。
日勤が終わって夜遅くから、近藤さん主催で1年お疲れ様飲み会が始まった。
って言っても皆適当に酒を飲むだけどな。
あーあー、又近藤さん全裸になってらァ…ま、あの人らしいっちゃあらしいけどねェ…
俺も一升瓶片手にグイグイやってると、土方が仕事の話をしだす。
コイツはアレだ、ハゲるな、絶対。
そんな事は気にしないでグイグイ酒を開けてっと、着物をキッチリと着込んだ近藤さんが俺の前に立つ。
「総悟!神社にお参りに行くぞ!」
にこにこ笑いながら、張り切って俺の手を引くけどめんどくせェ…
「近藤さん…もう大人なんですから、1人で行きなせェ…俺ァまだ飲みてェです。」
「良いからほら、羽織を着る!」
そして、強引に近藤さんに羽織を着せられて、引っぱり出される。
近くの神社まで行くと参拝に来たヤツラが沢山居るんで、なんとなく新年だなぁ、ってェ気になる。
折角なんで、近藤さんと一緒にお参りをして、神社で配ってた甘酒なんぞを飲んでると、近藤さんがやけにソワソワキョロキョロしてる…何だ…?
「近藤さん、どうしたんですかィ?もしや、テロ…」
「イヤイヤ…まぁ、ある意味テロリストだがな!愛のテロリスト…あ!お妙さぁ〜ん!新年そうそう偶然ですねぇ〜っ!!」
近藤さんがゴリラ女に飛び付いていって、お約束のように鉄拳をくらう。
…ゴリラ女が居るって事は…
「沖田さんっ!沖田さんもお参りですかっ?」
頬を赤くした新八が、たたっ、と俺に向かって駆け寄ってくる。
あー…久し振りに見る新八は…格別に可愛いや…
「おう、新八くんじゃないですか。姉弟でお参りですかィ?」
「あ、イエ、神楽ちゃんと3人で。」
「…チャイナ…?」
居ねぇし…
俺がキョロキョロと見回すと、向こうの甘酒の屋台でガブガブ飲みまくってるチャイナを発見した…
「…アレ…止めないんで良いんで…?」
「…沖田さん止めて下さいよ・・・」
「イヤでィ。」
自然と足がソコから遠ざかる。
何か面倒くさくなりそうだしねェ…
「あ、ズルイ!」
俺がスタスタと遠ざかると、新八も小走りで俺に着いてくる。
「…凄くお久し振りですねっ…やっぱり年末は忙しいんですか…?沖田さん見かけても、なんだか忙しそうに歩いてたんで、声掛けられませんでした…」
「…おー…記憶も飛ぶぐれェでした。」
「…大変ですね…お疲れ様です…」
新八が心配そうな顔で俺を見る。
「じゃぁ…お正月の間もお忙しいですか…?」
「…あぁ…暫く忙しいねェ…」
チャイナから遠ざかる為にサカサカ歩いてたら、いつの間にか神社の裏に出ていた。
あー…ここら辺は人気も無くて静かだねェ…
はぁっ、と吐いた息が白くなるのが楽しくて、はぁーっと息を吐いてはくすくす笑う。
「…沖田さん、もしかして酔ってます…?ってお酒臭っ!」
新八がぐん、と近付いてきて顔を顰める。
何でィ…
悲しくなったんで、そのままぎゅうと抱き締めて顔の前ではぁーっと息を吐くと、新八が真っ赤になる。
「ちょっ…止めて下さいよっ!お酒臭いですって!!」
腕の中でぱたぱたと暴れる新八が可愛くて堪らなくて、俺はちゅっ、とその唇を奪う。
「新八可愛い。」
真っ赤になってそのまま固まってるんで、ちゅっちゅっと頬にもおでこにも唇を落とす。
「…沖田さん…酔った勢いで忘れたら…許しませんからね…?」
涙目で俺を見つめてくる姿は堪らなく可愛くて…
でも…新八…嫌がってない…?
「…嫌じゃ…無いんで…?んな事忘れる訳ねェだろィ…新八との想い出は、どんな事だって忘れねェよ…変なキノコさえ喰ってなきゃ、ちゃんとえっち、してやれたぜ?」
俺がニヤリと笑うと、新八がこれ以上無いぐらい赤くなる。
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