パピー来襲



あれから何回も、沖田さんは連絡をくれたり待ち伏せしたりしてくれてる。
でも、僕はそれを一切無視した。
その度に沖田さんの凄く悲しい顔を見てしまうけれど…でも…やっぱりまだ許せない。
だって…酔って忘れるぐらいしか僕の事想ってくれてないんでしょう?

そんなの…イヤだ…

でも…そろそろヤバいかな…?今はまだ諦めないで連絡し続けてくれるけど…そのうち諦めちゃうんじゃないかな…?そうなったら…どうしよう…でも…やっぱりまだ…

そんな事を考えながらぼんやりとテレビを見ていると、電話をとった神楽ちゃんが慌てて出て行く。

…どうしたんだろ…?

厠に行っていた銀さんが帰って来て、拙者拙者サギの話をしていると、そんなの騙されるの神楽ちゃんぐらいだ、って話になった。
あれ…?そう言えばさっきの電話…神楽ちゃん銀さんがどーのこーの言って無かったっけ…?

あれ…?
まさかね…まさか…

慌てて銀さんと一緒に銀行へ向かうと、そこはなんだか物々しい事になっていて…
誰かが銀行に立て篭もったって…
えっ?まさかね…お金無いからって…神楽ちゃんに限ってそんな事…
真剣な顔で銀さんが銀行に入っていく。
ぼっ…僕もっ!神楽ちゃんが間違ってしまったら、こっちに引き戻すんだ!
警備しているお巡りさんを押しのけて、なんとか銀行の中に入ると、神楽ちゃんがカウンターに立っていた。
立っていたけど…

「「間違えました。」」

そこには、なんだかドロドロしたえいりあんに掴まって、むしろ人質になってる神楽ちゃんが居た。
イヤイヤイヤイヤ、神楽ちゃんなら何とか切り抜ける。
うん、彼女はやれば出来る子だから!!
僕なんかが助けに行っても足手まといだし!

僕と銀さんがくるりと振り返って銀行を出ると、何かに足を引っ張られて転んでしまう。
しまった!えいりあんに掴まった!!
そう思って蹴り飛ばそうと振り返ると、僕らの足首を掴んでいるのはどろどろになった神楽ちゃんで…

「かっ…神楽ちゃんっ!」

「新八〜ワタシを見捨てるアルカ〜?」

悲しそうな顔で僕を見る神楽ちゃんと目が合ってしまった…
僕は、神楽ちゃんを…見捨てるなんて…しないっ!!
僕がなんとか神楽ちゃんを引っ張りだそうとすると…

「神楽ちゃん!!離しなさい!!メッ!!」

なんでかお母さん口調になった銀さんが必死で逃げようとすると、それに気付いた神楽ちゃんがペッと唾を吐きかけて、

「お前ら皆道連れヨ。」

とか捨てゼリフをはいた…えぇっ!?道連れって!?打破しようよ!!えいりあん倒そうよっ!!

僕がふんがぁっ!と気合いを入れて立ちあがろうとするけど、足首掴まれてるから立てないよぅっ…
せめてなんとか、これ以上引き込まれないように頑張って床にしがみつこうとするけど、えいりあん力強いよっ!駄目だ!!
ずるずると引きずられて、僕らまでえいりあんに取り込まれそうになった時、銀行の自動ドアが開いて、誰かが入ってくる。

…沖田さん…?

「おっ、いたいた。」

それはヘルメットにゴーグル、全身をマントで包んだ男の人で…
もしかして…噂に聞くえいりあんハンター…?
その人はまるで散歩にでも来たように、するっとえいりあんに近付いて、あっという間にそいつを倒した。

な…っ…凄い…!!

僕らが呆然と見守っていると、その人が僕らに近付いてくる。

「さがしたぞ、神楽。」

「………パピー?」

ぱっ…パピー!?
この渋くてカッコいい人が、神楽ちゃんのお父さんっ!?
って事は…夜兎族の人…なのか…

スルリとマントを下げて、口元が露になる。
おっ…口髭…!
ゴーグルを上げると、厳しげな目元が現れる。
すっと眼鏡をかけると、知的な感じも醸し出す。
良いなー、カッコいいお父さん…
そして、ヘルメットもスッと外すと、そこには…

………あれ………?
なんか…落としてきちゃった…?
あれ………?

そこには悲しい焼け野原が広がっていた………


神楽ちゃんのお父さんが神楽ちゃんを連れてどこかに行ってしまったんで、僕らもその後に着いて銀行を出る。
するとそこには事件解決の為に真選組の皆さんが揃ってて、僕らを見ると駆け寄って来た。

「新八君、なんで君がここに?」

「あ、山崎さんこんにちわ。神楽ちゃん迎えに来たんです。拙者拙者サギにひっかちゃったみたいで…」

「おい新八、オメェは大丈夫なのか?」

「はい、土方さん。神楽ちゃんのお父さんが助けてくれたんで。」

「怪我ァねェかィ?」


「………」


沖田さんも心配そうに話しかけてくるけど、僕はぷいっと横を向く。
返事なんかするもんか。

「あ、銀さん、神楽ちゃん行っちゃいますよ!急ぎましょう?それじゃぁ、山崎さん、土方さん、失礼します。」

僕が2人に会釈して神楽ちゃん達に駆け寄ると、銀さんが何か言いたげにしながらも、黙って付いてくる。
完璧に無視した沖田さんも、悲しい顔でじっと僕を見てるけど…他の2人が僕から遠ざけてくれる。

いつまでこんな事するんだろ、僕…
沖田さん、凄く悲しい顔で見てた…
でも…でも………


僕らはそのまま2人に着いていってファミレスに入る。
神楽ちゃんが僕ら2人を紹介してくれるけど…そんなにダメダメ連呼しなくても良いじゃん…確かに銀さんはマダオだけどさ。
で、神楽ちゃんのお父さんも僕らに紹介してくれるけど…
へぇ〜、星海坊主さんっていうんだ…星海坊主…?

………星海坊主ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?

ちょっ…星海坊主って!!そんな有名人がお父さんなの!?神楽ちゃんっ!
僕でも知ってるよ、その名前っ!!
って、この人が…そうなんだ…なんか…イメージと違う…ずっとヘルメット…被っててくんないかな…

僕がそんな事を考えながらも畏まってると、銀さんがずぅーっと星海坊主さんの頭の事ばっかりで会話する。

ちょっ!銀さんんんんんん!!

そりゃぁ、一番目につく所だけどっ!ソコばっかり言ってたら傷つくよ!きっとグラスハートだよっ!!
それに、宇宙最強のえいりあんハンターだよ!?喧嘩売っちゃだめーっ!!