ガラスの眼鏡を君に
ターミナルがえいりあんに占拠された。
そんな通報で、俺ら真選組が現場に向かうと、ソコは確かに巨大なえいりあんに占拠されていた。
でもなァ、俺らは所詮お役所勤め。
重要建造物に指定されてるターミナルには、傷なんざ付けられねェ。
ただ下で眺めているしか出来ねェんだ…チッ…面倒くせェや。
それでも、江戸の街にえいりあんが侵入しないようにターミナルを包囲してると、万事屋の旦那がでっかい犬に乗ってえいりあんに向かっていく。
けど、すぐにえいりあんに犬ごと喰われた。
…旦那…何がしたいんでさァ…
良く見ると、えいりあんの近くには、ピンクの頭が見え隠れする…チャイナか…?
待てよ…?この2人が居るってこたァ…近くに新八くんも居るんじゃァねェか…?
まず、辺りを見回してみる。
…物陰にも新八くんの姿は見当たらねェ…
そしてえいりあん近くを見てみるけど、新八くんは居ねェ…
この件には絡んでねェのか…?イヤ、そんな事ァねェだろ…どこかに居るはずだ…
と、すると…ターミナルの中か…
ったく…何だっていつもいつも危ねェ橋、渡りやがるかなァ…
本当なら…すぐに飛んでって護ってやりてェのに…近藤さんが一言行けと言ってくれれば、すぐに走って行くってェのに…
こんな時はテメェの立場、ってヤツがスゲェもどかしい。
現場には松平のとっつあんの宇宙戦艦もやってきて、えいりあんに向かって松っちゃん砲を発射するとかなんとか言い始めた。
あのとっつあんは…ターミナルに手出しすんなっつってんのは自分だろィ…
俺が下界でジリジリしてる間に、えいりあんと闘っていた筈のチャイナの姿が消えた。
アイツがあんなのに負ける訳ァねェと思うけど…大丈夫なのか…?何か有ったら新八くんが悲しまァ。
そう思ってる内に、さっきえいりあんに喰われた筈の旦那と、星海坊主がえいりあんの真ん中で何か叫びだした。
って…あのえいりあんに飲まれてんの…チャイナじゃねェか…?
チッ…何やってんでィ、アイツァ…あんなのに負けてんじゃねェよ!
イライラしながら、ただじっと指をくわえて見ているしかない俺には、何にもできねェ…
その内に、ターミナルのえいりあんの中心に人影が増える。
アレは…皇国星の…馬鹿皇子…?と…でっかい犬と…新八…新八くんじゃねェか!?
やっぱり居たのかよ、アイツ…
良い考えと思ったのか知らねェけど、松平のとっつあんの前に人質なんて、全く意味ねェよ!
「近藤さん!」
「おう、判ってる。」
近藤さんが、松平のとっつあんに通信で色々言ってっけど、とっつあんは聞く耳持ってねェ…
新八…新八が…!!
「近藤さんダメでさァ!俺が行って…」
とっつあんに見切りをつけて、俺が走り出そうとしたその時、松っちゃん砲がえいりあんに向かって発射される。
「…新八ィ―――――――っ!!!!!!!!」
辺りが真っ白になって、俺の頭の中も真っ白になる。
新八…新八…新八…っ…
視界が戻ってくると、消え去ったであろうその場所には、1人のハゲちらかったおっさんが立っていた。
…まさか…傘一本で…アレを退けたのか…?
何だ?アノ生き物ァ………
それに…万事屋の旦那も…うっすら新八庇ってんじゃねェか…
俺ァ…何でこんなトコに居る…?
イヤ…俺が居ても…刀で松っちゃん砲をぶっ飛ばすなんて真似出来ねェ…精々新八庇っておっ死ぬのが関の山だ…新八に合わせる顔なんざ…無ェじゃねェか…
馬鹿皇子や、その場に居たヤツラが保護されて、俺達はえいりあんの残骸を間近で見る。
ターミナルが、えいりあんまみれじゃねェか…
残務処理、大変だろうねェ…頑張れ土方。
群がってくる記者達を近藤さんから遠ざけて、パトカーに乗り込む。
そのまま屯所に帰る…筈だった…でも…やっぱり新八くんの無事な姿を間近で見てェ…
近藤さんに断って、パトカーをこっそり抜け出して新八くんが居た所まで登ってみる。
高ェ所から見下ろすと、俺達の居た所はえらく小せェ。
俺ァ…小さく見えたんだろうねェ…
イヤ、見えてもいねぇか。
テメェを助けてくれた、星海坊主や…万事屋の旦那は…さぞかしデカく見えたんだろうよ…
らしくなくしょぼくれて、俯いた俺に何かが光って見えた。
何だ…?
近付いてみると、それは眼鏡で…コレァ…新八くんのじゃねェのか…?コレが無ェと、新八くん、困るんじゃねェか…?
隊服の袖でソレを拭いて、懐にしまう。
ははっ…新八くんを探す理由…出来ちまった…
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