「あー!沖田しゃんらー」
僕がふらふらと近寄って、ぎゅーっと抱きつくと、沖田さんの顔がくしゃりと歪む。
「新八ィ…オメェ酒臭ェ…俺には酒飲むなっつったのに…」
「らってー、今日はおめれたいんれすよ?神楽ちゃんがね?帰ってきたのー!」
僕が店の戸を大きく開けて神楽ちゃんを見せると、沖田さんがぽんぽんと頭を撫でてくれる。
「良かったねィ。今日は万事屋に泊まっていくんだろィ?」
「ううん、僕家に帰りましゅ。」
「…そうなのかィ…?んじゃぁ送って行きまさァ。」
僕が先に立ってふらふらと歩き出すと、沖田さんがあわあわと付いてくる。
えへへ…なんかデートみたいだ!嬉しいなっ!!
僕がぎゅう、と腕に掴まると、僕を引き摺って沖田さんがすたすたと歩き出す。
「表通りまで行って、籠に乗りやしょう。あぁ、心配すんねィ俺の奢りでィ。」
…え〜…
「…ありゅいて帰ったりゃ…もっといっぱい一緒にいれりゅのに…」
僕がむぅ、と膨れると、沖田さんの顔が赤くなる。
「新八ィ…オメェ酔っぱらうと可愛さ2割増しでィ。」
「えへへー、僕、可愛いれすか?」
「…おぅ…」
沖田さんがもっと赤くなるのがなんか嬉しい!
そう想ってもらえるなら、ずっとお酒飲んでようかなぁ…
大通りまで出て2人で籠に乗り込むと、僕の家まではすぐだった。
「ほら、着いたぜィ。こっからは1人で帰れるだろィ?」
「…はい…」
折角逢えたのに…もうお別れなんだ…寂しいな…
でも…あんまりトロトロしてたら、沖田さんに嫌われちゃうかもしれないし…
出来るだけさっと籠から降りて、家の前に立って籠の中の沖田さんに笑顔で手を振る。
すぐに籠が走り出して、沖田さんは行ってしまった。
はぁ、と溜息を付いて、門に寄りかかって格子戸を開けようとしたら、足がガクッってなって転んでしまった。
やだなぁ、銀さんみたい。僕しっかりしてるのにさっ!
恥ずかしくなってさっさと立ち上がろうとするけど…あれ…?立てない…?
それに…門が冷たくて…凄く気持ち良い…このままここで眠っちゃいたい…
門に顔をつけて、ついうとうとしちゃうと、誰かに後ろから手を引っ張られる。
「新八ィ…しっかりしなせェ…」
「…沖田しゃん…?」
ぽかん、と上を見上げると、心配そうな顔の沖田さんが僕を見降ろしていた。
しまった、しっかりしなくっちゃ…
一生懸命立ち上がろうとするけど、どうしても立ち上がれない…
「ありぇ…?立てにゃい…おかしいにょ…」
僕がちょっと泣きそうになりながら立ち上がろうとしても、どうしても立てない。
こんな事してたら…沖田さんに嫌われちゃうよぅ…
そのうち沖田さんが、はぁ、と溜息をつく。
あ…呆れられちゃったよ…
「良いから。新八は座ってなせェ。」
僕が俯くと、沖田さんはぽんぽんと頭を撫でてくれる。
格子戸を開けてくれて、ぐん、と僕を抱き上げる。
「…こんだけ暗かったら恥ずかしくねぇだろィ?」
「ひゃぁっ…!」
いきなり高くなった視界にびっくりしてぎゅうと抱きつく。
あ…沖田さんの匂い…だいすき…こんな情けない僕の事…呆れて嫌いになっちゃったかな…
悲しくなってもっとぎゅっと抱きつくと、沖田さんも腕の力を強めてくれる。
「僕…自分でありゅけ…」
「無いだろィ?しっかり掴まってなせェ。」
「れも…僕重いし…」
「新八ぐれェ軽い軽い。」
沖田さんがニッ、と笑って僕の顔を覗き込む。
そのまま格子戸も閉めて、玄関の鍵も開けてくれて、僕の部屋まで運ばれる。
そしてざっと布団を敷いてくれて、その上にそっと降ろされる。
「今日はもう大人しく寝ちまいなせェ。」
「しょんな…今お茶を…」
「いいから。どうせ立てねェだろィ。」
言われてみると確かにそうだ。ここまで運んでもらったじゃん…
「…はい…しゅみましぇん…」
僕は…迷惑かけてばっかりだ…何も…返せない…
「ほい、おやすみ。」
ぽんぽんと頭を撫でられて、沖田さんが離れていこうとする。
…ヤダ…もっと一緒に居たいよ…
掴まってた首をもっと抱きこんで、うー、と唸ると沖田さんがぎゅっと抱きしめてくれる。
「どうしたィ、気分でも悪ィのかィ?」
こんな僕にどこまでも優しいなんて…なんか泣きそうになってきたよっ…
「気分は…悪くないれす…僕…情けなくって…沖田しゃん、こんな僕に優しいんらもん…」
本当に泣きそうだよっ…でも…泣いたらきっと迷惑かけちゃう…
「…はぁ…本当に酔ってやすねェ…ほれ、手ェ離しなせェ。いつまでもくっついてたら、襲っちまうぜィ?」
おそ…う…?
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