マヨラ危機一髪



土方さんとお話し出来ないまま、数日が経った。
やっぱり副長ともなると忙しいんだろうか…?
でも、その割には近藤さんはしょっちゅう家に来てるよな……

まぁ、そのうち会えるよね。
やっぱり…内容が内容だけに、話しづらいし…
すぐじゃなくても…良いよね…?
そう考えるとちょっとだけ気が楽になって、手が止まっていた仕事に戻る。
まぁ…仕事って言っても万事屋の掃除なんだけど…

銀さんは昨日からふらりとどこかに出かけたまま戻らないし。
神楽ちゃんはいつものようにただソファにゴロゴロ寝転がってテレビを観ているし…
僕がやらなきゃココ、大変な事になるからね!
それでもちょっとだけお小言を言ってみる。

「もー、神楽ちゃんっ!ゴロゴロしてるだけなら掃除手伝ってよ!」

「掃除は新八の仕事ネ。」

「そんなのっ…!」

「邪魔するぜ。」

神楽ちゃんに反論しようとすると、玄関から土方さんが入ってくる。
なっ…探してる時は見付けられなかったのに…
心の準備が…っ…

「こんにちわ、土方さん。今日はどうしたんですか?あ、とにかく座って下さいお茶淹れてきます。」

「あぁ、すまん。」

土方さんをソファに案内して、すぐにお茶を淹れてくる。
とん、とお茶をテーブルに置くと、一口お茶を飲んでから土方さんが口を開く。

「ここの所色々調べ物が有って忙しくて悪かったな。話ってのは何だ?」

やっぱりお仕事忙しかったんだ…
そんな中わざわざ来てくれるなんて…申し訳ないな…

「お手間おかけしてすみません。実は…」

「あぁ、俺もな、色々考えて調べてたんだ。やっぱり新八なら和装だろ?それとも洋装の方が良いのか?」

僕の話を遮って、ばさり、とパンフレット的なものをテーブルに広げる。

「…え…?」

「式の話だろ?」

…?話が見えない…

「…何の式…?」

土方さんが凄く嬉しそうにパンフレットを広げると、それは…


「そんなの、俺達の結婚式に決まってるだろ?凄く色々調べたからな。どんな要望にも応えるぞ?」


「調べたってソレかィィィィィィィィィ!?んな訳ありませんからァァァっ!!」

パンフレットは全部結婚式場のもので…
仕事じゃなかったのかよっ!?

「イヤむしろ新八から俺に話ってそれ以外何が有るんだ?」

そんなきょとん、とした顔されてもっ!!
どんだけ周り見えてないんだこの人ォォォォォォ!?

「違いますよっ!僕の話は…」

「あ?ちょっと早まったか。結納の日取りか?」

「だからっ!んな訳無いでしょうがっ!僕の話は…」

「オマエフラレるネ。新八はドSと付き合ってるヨ。」

うわっ!ちょっ…神楽ちゃんんんんん!
僕が話そうとしたら、横から神楽ちゃんがズバッと核心を突いてくる。
そんなはっきりと言ったら…

そーっと土方さんを見ると、何を言われたのか分からないって顔で呆然としてるよ…

「…あの…土方さん…?」

「…ははは…何言ってんだ?チャイナ娘。そんな子供騙しに俺が引っ掛かるとでも思ってんのか?」

笑ってるけど、目が笑って無いよ…
どうしよ…分かってもらうにはやっぱりちゃんと僕が話さなきゃいけないよな…

「…あの…」

「で?新八式の日取りはどう…」

「土方さん、神楽ちゃんの言った事は本当です。僕が土方さんを探してたのは、その事をお話しする為です。」

僕がそこまで一気に言うと、暫く呆然として動かなくなってた土方さんが、今度はワタワタと動きだす。


「は!?総悟!?新八お前何言って…アイツはサディスティック星の王子だぞ?いい加減だし我儘だし食い意地はってるしすぐサボるし気紛れだし大体新八苛められるだろ?それに給料だって俺の方が高いし…」

「そんな事無いです。沖田さんは優しいです!それに、僕の事すごく真剣に想ってくれてますっ!給料だって…別に僕は沖田さんに頼ったりしないから関係ないです!」

僕がはっきりそう言うと、土方さんが言葉に詰まる。

「…それは…」

「僕は…沖田さんの事を好きになってしまいました。だから…土方さんとはお付き合い出来ません。期待させて、お待たせして…すみませんでした。」

僕がぺこりと頭を下げると、俯いていた土方さんが拳を握る。
僕…殴られるのかな…?
…でも僕、はっきり断ったよね…?断ったよね…?

「…山崎は…知ってんのか…?」

「はい。僕が言う前に知ってたみたいです。僕が知ってる事よりもっと色々…」

あの野郎…とつぶやく声が怖いよ!

「…幸せに…な…」

「え…?」

もっとゴネられるかと思ったけど…やっぱり土方さんは大人なんだ…ちょっと前向き過ぎるだけなんだよね…?
無理矢理ニコリと笑って、肩をがっくりと落として帰っていく…

申し訳ないけど…僕は…沖田さんが好きなんだ…

ごめんなさい、土方さん…

「マヨはジミーより根性無しアルナ。」

神楽ちゃんがふむふむと頷くけど…
何知ってんの!?この娘ー!?
僕を見てニヤリと笑う顔が怖くなって、僕は深く追求するのを止めた…