隠してた物が出てくると、立場って危うくなるよね
銀さんの隠し子騒動は予想外の方向にむかって、皆が幸せになって終了した。
万時が居なくなった後、お登勢さんもキャサリンさんも神楽ちゃんも皆寂しそうで…折角買ってきた赤ちゃんグッズを見ちゃうと、より一層寂しさを募らせる。
なんとか皆を元気付けようと、
「銀さん早く結婚して本当に赤ちゃん作って下さいよ〜」
なんて僕が軽口をたたくと、女性陣が全員そろって激しく首を横に振る。
…銀さん…何だと思われてるんスかアンタ…
その上、僕の発言はそのまま僕に帰ってきて…
「銀時じゃ子供なんか育てられないよ、家賃さえまともに払えないんだからね。それより新八、あんたが早く結婚して孫の顔見せておくれよ。」
なんて言われてしまった…
いやあの僕は…このままいったら、子供は…出来なくて…
そんな事言える筈も無く、あはは…と笑って誤魔化した。
そうなんだよな…
僕は…大好きな人の子供なんて、産んであげられない…
勿論、大好きな人に産んでもらう事だって出来ない。
それでも良い、って覚悟もしたのに…実際赤ちゃんを見ると、凄く可愛かった。
ちょっとだけだけどお世話をしたら、凄く愛おしくなった。
…総悟さんの赤ちゃんだったら…きっとものっ凄く可愛いよな…
うん、可愛いに違いない。
きっと目の中に入れても痛くないよ。
でも…僕には無理で…
総悟さんが万時みたいな可愛い子供を見ちゃって、子供が欲しくなったらどうしよう…
僕じゃ…どう頑張っても無理だから…
他所で作ったり…して…?
そんなのイヤだ!
総悟さんが他の女の人と…えっち…するなんて…
って…僕はまだチェリーだけど…総悟さんはどうなのかな…?
僕より全然大人だし…真選組だし…カッコいいし…女の人が放っておかないよね…
とっくに経験してても…おかしくないよね…
それどころか、総悟さんにも隠し子が居たらどうしよう!?
イヤイヤイヤ、まさかね!
でも…銀さんだって、今回は違ったけど色々心当たり有ったみたいだし…途中まで隠し子だって信じて、なんとか誤魔化そうとしてたもんな…
きっと、土方さんや山崎さんも心当たり沢山有りそうだ…
なら、総悟さんだって隠し子が居てもおかしくないよね…
…どうしよう…総悟さんに隠し子が居たら…
やっぱり…僕は身を引かなきゃいけないよね…
でもイヤだっ!
総悟さんは僕んだっ!!
色んな事を考えてたら、凄く怖くなってきて…
僕は万事屋の帰りに真選組屯所に向かった。
でも、いざ屯所の前に着いてみたら。
厳つい門を見てしまったら。
簡単にはそれを越えられなくて、門の前をウロウロと歩いて中の様子を伺ってしまう。
…あー…
もう今日は諦めて、明日改めて来よう…
やっぱり門を越えられなくて、諦めてトボトボと家路につく。
勢いだけで屯所まで押し掛けるなんて…良く考えたら迷惑だったよね…
でも…やっぱり不安で…
せめて、総悟さんの顔が見られたら…少しは安心だったのに…
はぁ、と溜息をついて曲がり角を曲がると、丁度見廻りから帰って来たのか、前から総悟さんが歩いてくる。
「総悟さんっ!?」
ビックリして思わず叫んでしまうと、総悟さんも驚いた顔で僕を見る。
「新八くん…今日は新八くんが俺を迎えに来てくれたんで?」
そう言いながら、少し早足で僕の方に来てくれるのは嬉しいけど…
でも…やっぱり姿を見たら、一層不安になってしまう…
「総悟さんっ!総悟さんには隠し子なんて居ませんよねっ!?」
叫ぶように僕が言って抱きつくと、ぎゅうと抱き返してくれる。
「あぁ…万事屋の旦那に隠し子が居たんで、心配になりやしたかィ?」
くつくつと笑う声と、それに合わせて抱きしめてくれる腕が震えるのが凄く恥ずかしい。
でも…でも…っ…
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