潜入中!
ここのところずっと俺が追っていた、春雨を巻き込んだ攘夷浪士の大騒動は、なんやかんやで真選組が関わる前に決着がついてしまって、肩透かしを喰わされた気分だ。
それでもまぁ、面倒事がやっと片付いたんで、俺は短い休みを貰った。
そうして周りを見てみたら、あら大変。
沖田隊長と新八君が別れてるじゃないか。
それにつけ込んで副長がなんかやったらしく、局長が珍しく警戒して副長につきっきりで。
万事屋の動向は解らないけど、アノ人達が大人しく黙ってる訳が無い。
当然姐さんも黙ってる訳が無い。
…あれ…?姐さんは知らないんだったっけ?
とにかく、すっかり出遅れちゃってるからね、俺。
取り残されちゃってるからね、俺。
正しく状況把握して、動き出さないと…
久し振りに仲間とミントンもしたいけど、今はそれどころじゃない。それは仕事中で良いや。
碌な情報も無く動いて副長みたいになる訳にもいかないしね。
普段着に着替えて人混みに隠れた俺は、ひっそりと周りの状況を調べる事にした。
短い休み中に調べ上げた状況は、まぁこうだ。
まず、沖田隊長。
新八くんに自ら別れを告げたにも関わらず、その落ち込みようは半端無い。
まさかの真面目さで、黙々と仕事をこなしている。
碌に眠る事もしないで…
それを心配した局長は、姐さんと二人で彼らをなんとかしようと対策を練っているらしい。
姐さんは、新八君の様子から二人が付き合ってる事に気付いていたようだが…反対しないんだ…
ついでに言うと、いつものストーカー然としている局長しか見ていなかった姐さんは、ここ最近の真選組局長の姿を見てちょっとだけ見直しているようだ。
そのまま良いとこみせて落としちゃえば良いのに、そうしない局長は馬鹿なのか真面目なのか…
そんな局長に警戒されてるのが副長で。
2人の作戦に乗らずに、自分が新八君に手を出そうとして邪魔されている。
当然、新八君にも警戒されている…
万事屋の旦那は、特に何もしていない。
沖田隊長とはやたらと接触が有るようで、なにかとけしかけてはいるようだ。
なんだかんだで新八君の事は心配なんだろうけど…
チャイナさんの事を考えると複雑なんだろうな。
チャイナさんは、まだまだ色気より食い気なようだ。
初めの内は頑張ってたみたいだけど、最近は兄のように慕っているみたいだ。
新八君もチャイナさんの事は妹みたいに思ってるみたいだしね。その方が良いんじゃないかな?
…新八君は…
やっぱりどこか元気が無い。
話に聞くと、一時はずっと泣き暮らしていたようだ。
今日も何かを想い出すのか、21回も泣いていた。
寝ている間も、10回泣いた。
そんな姿を見ていると可哀想だけど…
俺はこんなチャンスをただただ黙って眺めているようなお人好しじゃぁ無い。
かと言って、バレて邪魔されるようなトンマでも無い。
こっそり忍び寄って、いつの間にか隣に居るのが当り前な男になってやる。
上手く絡め取って、離さない。
誰かさんのように、手に入った獲物を手放すなんて阿呆な事はしない。
さて、はじめはどうしてくれようか…?
俺が綿密な計画を立てている途中、副長から呼び出しがかかった。
この間の攘夷浪士達の一件についての話だという。
…報告書読めよ、マヨラー…
そんな事考えてるなんておくびにも出さずに懇切丁寧に説明してやると、副長は俺に万事屋の旦那を調査しろと命令してきた。
万が一の場合は斬れ、とまで。
そんな事が俺に出来る訳ないじゃん。
俺は頭脳派なの!
戦闘馬鹿のアンタらとは違うの!!
…まぁ、万事屋の旦那の側には新八君がいるから。
適当に調べて後は新八君の観察をしていよう。
コレは副長命令だからね。
新八君に見付かっても、ストーカーなんかじゃ無い、って言えるし好都合。
早速俺は、愛用のミントンラケットを携えて河原に向かった。
イヤ、だって仲間と約束してたし。
万事屋の旦那の噂を色々聞いて回ったけど、誰もちゃんとした事は解らないらしい。
ふわふわしてるようで、信頼だけは有るのか…?
それとも本当にちゃんとした事は解らないように行動しているのか?
それとも本当にただふわふわしているマダオなのか?
仕方ない、本人を探るしかない。
旦那は今大怪我をして恒道館道場で療養しているらしいし。
恒道館に忍び込むか…
俺は、新八君が好きな団子屋の団子を持って、こっそりと恒道館道場に忍び込んだ。
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