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袖を肩まで捲くった沖田と夜店に目をやる新八が混雑の中を歩く

祭りは好きだが…

新八はもっと好き

沖田は夜店よりも新八ばかり見ていた


「金魚でもすくいます?」

「金魚〜?非常食にでもする気ですかィ?」

「グロイ!!」

「そーゆー切実な理由なら俺がいくらでも取って」

「いりません…」


沖田の親切空回り…

実は結構本気でそう思っていたのは秘密だ

顔をしかめる新八を覗いて

淋しそうな顔をする沖田が一瞬離れる

新八がこちらを振り向くまでにまた戻った


「コレで機嫌直しなせェ」

「わたあめ?」

「子供は甘いもん好きだって誰かが言って」

「僕じゃない…?」

「そうでしたねィ…」


間近に突き出されたわたあめを一口

甘い…

ぺろっと口の端を舐める表情が可愛い

沖田のテンションが上がる


「もっと食いやすかィ?!」

「ありがとvv」


嬉しそうにわたあめを押し付ける沖田

めろめろで

幸せそうな顔…

新八は飛び散るハートを払いながらにっこり


「落ち着いて下さい」

「落ち着いてまさァvvホラ新八ィもっと回りやしょうぜ!!」

「落ち着いてないじゃん」


指摘されたって気にしない

新八の手を引く

人の波を避けながらつい駆け足になった

時々、

新八が人にぶつかれば


「テメー土下座しろよ」


なんてマジ切れしたり…

今日の沖田はいつになく元気でご機嫌だ

余程、新八との祭りデートが楽しみだったのだろう


「ヌケッパチィー」

「え?…いてっ」

「ヨーヨーアタック!!」

「子供ですかッ!!」


いつの間に入手したのか

青いヨーヨーを遊ばせていた

新八の頭に当てて楽しそう

カシャンカシャン、と

無機物が跳ねるような不思議な音がする


「危ないでしょ!!割れたらどうすんの!!」

「そうだねィ。濡れた着物乾かしにご休憩でさァvv」

「螺子を買ってこい!!」

「どーせなら氷にしやしょうぜィ。買ってくらァ♪」

「…(頭の螺子だよ)」


通じないなぁ…

新八が溜め息交じりに沖田を見送った

落ち着きなく、

すぐに何処かへ行ってしまう

でもすぐに戻って来る

新八と祭りを同時に満喫しているのだ

忙しい……



沖田さんはしゃぎすぎ

本当にお祭り好きだよね

く、あはは♪

あーゆートコは可愛いのに

今日は走り回ってばっかりで忙しい人だなぁ

楽しそうでよかった



向こうから走ってくる満面の笑み

新八も思わず微笑んでしまう

手を振って

笑顔が差し出す氷を受け取った


「あっちィや」

「走ってばっかだもん」

「元気溌剌なんでィ」

「クスクス♪ですね〜」


冷たい氷が喉を潤す

氷を食べながら歩いていて思い出した

もうすぐ花火の時間だ


「沖田さん、花火!!」

「安心しなせェ。絶好の場所は偵察済みでィ!!」

「気合い入ってるなぁ」

「当ったり前だろィ」


にーっと笑った

今日の沖田は笑顔が絶えない

それが何だか嬉しかった

人の流れから外れて、

花火のよく見えるそれでいて二人きりになれる場所へと歩いて行く

草むらに並んで腰を下ろした

じき花火が上がり始める


「喧しい音だねィ」

「風流でいいじゃないですか。見も蓋もないなぁ」

「俺はバズーカの音のが好きですぜ?」

「音じゃなくて花火を見なさい」


へいへい、と気のない返事

色鮮やかに染まる夜空を見上げた

登っては散る光

新八の嬉々とした表情の方が見ていて目の保養になる

だから沖田は花火を見るフリ…


「すごいなぁ〜!!沖田さん見ました?!キレー♪」

「見てまさァー」


新八君をねィ…

その言葉は一応飲み込んでおいた