彼のムチャクチャな行動を、そこかしこで見掛けた。
その行動を目で追うようになり。
気付くとその姿を探すようになった頃に、その彼からのまさかの告白に自然と頷いたのが、大体3ヶ月前の話。
(なんなんだろう…
沖田の態度がおかしい。
そう、新八は思い始めていた。
―勝手に寂しく
ならないで―
付き合いはじめてみると、沖田の意外な優しさを知ったり、サボりが多いようでいて、肝心な時にはちゃんと仕事をしていたりと、新八にとって色々と嬉しい発見があった。
(でも、
今、新八は前を歩く沖田の背中を見ながら、ここ最近繰り返している疑問を再び浮かび上がらせていた。
(なんか、よそよそしいんだよね…
ふと、新八は沖田の手に目をやる。
(そういやここんとこ、手も繋いだりしてないや
初めの頃、沖田は手をやたら繋ぎたがり、人目があるからと言う新八の抗議も笑って流していた。
(たまには、いいよね…
自分から行動を起こした事はまだなかったし、と考えながら沖田のそばに寄り、ドキドキしながらその手に触れた。
途端、沖田の肩がビクリと揺れ、手が勢い良く引かれる。
振り向いて新八を見た沖田の顔は、焦りと驚きの色を隠せないでいた。
(え…
「あ…、新八、すいやせん」
自分の行為への恥ずかしさと、沖田の反応へのショック。
何かありやしたか?と尋ねてくる沖田の顔がまともに見れない。
「…いえ、何でもないです」
顔を伏せがちに言う新八の様子に気付かないのか、沖田は新八に何か話しかけながらまた前を歩き始める。
でも、新八の耳にはもう、音としてしか聞こえない。
自然と足が止まる。
声を掛けても反応が返って来ないのに気付き、沖田が振り返ると、いる筈の位置に新八の姿はなく。
慌てて辺りを見回すと、遥か後方、道端で座りこんでいる新八を見つけ。
急いでその側に駆け寄った。
「新八!どうしたんで?どっか具合でも…」
「…か」
「は?」
新八の前にしゃがみ、その肩に手を置いた沖田に、顔を伏せたままで新八は問い掛けた。
「僕、沖田さんに、なにかしましたか…?」
「…」
予想していなかったであろう問いに沖田が黙り込むのを、肯定と取った新八はそのままスッと立ち上がり、口を開いた。
「ごめんなさい…僕、今日は帰りますね」
それだけ言うと、踵を返して立ち去ろうとする。
「ちょ、ちょっと待ちなせェって!」
自分に背を向けた新八の腕をとっさに掴み、なんとか足を止めさせる。
「離して下さい…こんな、」
「取り敢えず、あっちで話しやしょう」
沖田は抵抗する新八を、半ば引きずるように、ひと気のない横道に引っ張り込んだ。
「痛いです沖田さん!…もう逃げないから、離して下さい」
周囲に人の気配がないのを確認していた沖田は、自分がずっと新八の腕を掴んでいた事にやっと気付いた。
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